
vol.43 ペット問題への対処法
佐瀬正俊氏
(弁護士)
東京都では、今年の3月31日に「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」をその規則とともに制定し、いよいよ10月1日から施行されることとなりました。この規定は、東京都が宅地建物取引業者(いわゆる不動産屋さん)に対する義務を明示し、監督権限を使用しながら入居者との紛争の防止を図るものです。業者に対する条例だといっても、業者ではない人にまったく関係がないわけではありません。アパート経営者は不動産屋さんに業務を委託したり提携しているのが一般的ですから、業者の条例違反は大家さんにも影響を及ぼします。
また、入居者としての立場からは、業者がどのような義務を果たすべきかを知っておいた方が紛争を防止するための補助となると考えられます。条例の内容は、業者向けの条例であるために説明も難くなりますが、ぜひその概要を知っておいていただきたいと思います。
ペット禁止の特約は有効か?
賃貸借契約書に「室内でのペット飼育禁止」という条項を入れている場合は、これに違反する事実があったときはすぐに契約を解約できるのでしょうか。実は、これには問題があります。一口に「ペット」といっても、その種類や大きさ、吠えるか否かといった習性の問題などがあり、一律には判断できるものではないからです。ペットを禁止する理由には、ひとつには室内が必要以上に汚れることや、部屋の損傷等を防止するという面と、もうひとつは鳴声や臭気等により他の入居者に迷惑をかけることを防止して、共同生活上の支障を生じさせないようにするという面があります。
このような観点から、入居者の約定違反が許容される範囲を超え、家主さんとの信頼関係を破壊するものといえるか否かの判断をすることがポイントとなります。
実例に学ぶ対処法
「ペット」といっても、金魚や熱帯魚といったものであれば、よほどの大型水槽や循環用ポンプ等を使用した場合は湿気の問題や騒音などの問題が生じるかもしれませんが、そうでない限りは、前記のような問題が生じるとは考えられません。
しかし、鳥類の場合、小型であれば通常は問題ないように思われますが、羽毛や糞等でアレルギー症状を起こす人がいたり、鳴声が甲高いものであったりすると、隣室や周囲の住人にも悪影響を及ぼしかねません。
また、犬や猫といった類いのペットについては、小型でも鳴声の問題だけでなく爪などにより柱や壁等に傷をつけたりすることも起こり得ます。もちろん、しつけが十分されていればそのような問題が生じないことも考えられますが、家主さんがその確認をするといっても現実的には難しいものがあり、結局近隣からクレームが出て初めて問題になるケースが多いようです。
室内に損傷等を与えかねないようなペットを飼っていることが明らかであれば、建物の管理上、大家さんが確認のために室内に立ち入ることはできると考えられます。
契約約款について
トラブルを未然に防ぐためには、ペットについてのルールをきちんと定めておく必要があります。その場合、上記のような問題を十分考慮した上で、賃貸契約書にペット飼育に関する規定を明文化しておくことが重要です。認めてよいペットの種類を特定しておくほか、「飼育可」とする場合でも、前記した「室内の点検」をできるように定めておくとか、近隣に迷惑をかけるようなことがあればペットを飼うことを禁止できるような規定を定めておくべきでしょう。

>> アパート経営ゼミナール 一覧ページへ