アパート経営ゼミナール vol.41 10月1日から施行される賃貸借紛争防止東京都条例とは

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vol.41 10月1日から施行される賃貸借紛争防止東京都条例とは

 東京都では、今年の3月31日に「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」をその規則とともに制定し、いよいよ10月1日から施行されることとなりました。この規定は、東京都が宅地建物取引業者(いわゆる不動産屋さん)に対する義務を明示し、監督権限を使用しながら入居者との紛争の防止を図るものです。業者に対する条例だといっても、業者ではない人にまったく関係がないわけではありません。アパート経営者は不動産屋さんに業務を委託したり提携しているのが一般的ですから、業者の条例違反は大家さんにも影響を及ぼします。
 また、入居者としての立場からは、業者がどのような義務を果たすべきかを知っておいた方が紛争を防止するための補助となると考えられます。条例の内容は、業者向けの条例であるために説明も難くなりますが、ぜひその概要を知っておいていただきたいと思います。

業者の条例上の説明義務内容

1 条例では、業者には次のような説明義務を課することとしています。
(1) 宅地建物取引業法35条1項の説明義務
(2) 条例で定める説明義務
 1) 退去時における住宅の損耗等の復旧については、賃借人が行うべきこと。
 2) 住宅を使用するについて、賃借人が行うべきこと。
 3) 賃貸借契約上、賃借人の負担となる事項
(3) 住宅の賃貸借に関する紛争を防止するためにあらかじめ明らかにすべきと規則で定められた事項

説明方法

 その説明の方法としては、以上の事項を記載した書面を賃借人へ交付して説明をしなければなりません。現在も、法律上重要事項説明書を書面として交付し、説明をしなければならない義務がありますので、その重要事項説明書に条例の説明義務内容を記載しなければならなくなったと理解してよいでしょう。

条例で説明を除かれている場合

 当事者間で特約がある場合、賃借人の責に帰すべき場合の住宅の損耗の復旧および賃借人の責に帰すべき場合の修繕の必要については、上記条例の説明義務からは、除かれています。しかし、これは、賃貸住宅経営の実際の場では、賃貸借契約上の内容に関することであり、契約内容の説明義務の範囲となります。けっして説明をしなくてよい事項ではありません。

条例で説明を除かれている場合

東京都知事が業者を監督する方法については、以下のように定められています。
(1) 業者に対する業務報告及び資料提出請求
(2) 説明義務を怠った場合又は業務報告・資料提出をしない場合又は虚偽の報告・資料を提出した場合には、その説明、報告・資料提出又は報告・資料の内容の是正に関する指導及び勧告
(3) 勧告に従わなかった場合の公表措置 勧告を受けているにもかかわらず、正当な理由なく勧告に従わなかった場合は、東京都の公報への登載その他広く都民へ周知させる方法での公表措置を取る。
(4) 公表の内容  勧告に従わなかった業者名の公表は、業者としての信頼性を失わせることになり、その様な不利益を被りたくないと考え条例の内容を遵守させようとするものです。
 従って、その様な効果が予測される次のような事項となっています。
 1) 勧告を受けた氏名
   法人の場合は、法人の商号又は名称及び代表者の氏名です。
 2) 勧告を受けた者の住所
   法人の場合は、その主たる事務所の所在地
 3) 勧告の内容
 4) その他知事が必要と認める事項
(5) 公表措置までの手続
 勧告を受けても従わない業者の公表は、一つの行政行為ですから、その措置をとるための手続きが業者に保証されていなくてはなりません。行政行為の間違いを防ぐためであり、公表措置により本来受けなくともよい不利益を受けないようにするためでもあります。
 従ってその手続きは、次のような流れで進行されます。
 1) 意見陳述の機会の通知
 通常意見陳述の提出期限を定めて、書面で公表内容、その理由等を記載して通知することとなります。
 2) 都知事は、意見陳述の内容又は陳述がなかったことを勘案して公表するかどうかを判断する。

 以上のような業者への義務の規定は、目的が紛争防止にあり、実質上は不合理な敷金の精算の防止、退出時の清算問題の適正化を図るものだと理解できるでしょう。
 以前にもお知らせをしましたが、当時の建設省住宅局が作成をした「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、一つの原状回復義務の判断基準を提示してくれているものですから、この内容をよく理解した上で、合理的な契約書の作成、特約の作成、説明義務の内容たる重要事項説明書の作成をしていただきたいと思います。


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