
vol.40 小規模住宅用地と小規模宅地の特例
鴛海量良氏
(公認会計士・税理士)
宅地の上に自宅やアパートなどを建築したときに、その土地を評価するに当たって「小規模住宅用地」に該当するか、「小規模宅地」に該当するかという質問を受けることがよくあります。
例えば、「小規模住宅用地」についての質問を掘り下げて聞いていきますと、それは相続税の「小規模宅地」の減額特例に関するものであったり、また、逆のケースもありで、混同されている皆さまが多いようです。いずれも「小規模」という言葉を冠せられていることと、いずれも税金が安くなるので混同されがちなのだと思います。
今回はこの二つの特例について解説いたします。
主な相違点
1 「小規模住宅用地」の特例は固定資産税と都市計画税(以下、固定資産税に限定します)を課税するときの特例、一方、「小規模宅地」の減額特例は相続税を課税するときの特例です。
2 固定資産税は所有に対して、相続税は相続を要因とする取得に対して課税されます。したがって前者は所有し続ける限り毎年課税されますが、後者は相続時の1回だけです。
3 いずれも税率を乗じて税金計算の対象となる課税標準の特例であり、結果的に税金が安くなります。
4 前者はその宅地の上に住宅が存していることが前提ですが、後者は必ずしもそうではありません。
5 宅地と建物が必ずしも同一の所有者である必要がないことが共通しています。
6 本稿では「小規模住宅用地」の特例と書いていますが、法律用語では、固定資産税の場合は「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」(地方税法第349条の3の2)、「小規模宅地」の特例は「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(租税特別措置法第69条の4)というように長い見出しが該当条文に付いています。
次にそれぞれの内容、仕組みを解説しましょう。
小規模住宅用地の特例
この用語は「住宅用地」についての課税標準の特例の一種です。したがって、まず「住宅用地」があって、その中に「小規模住宅用地」がある、とお考えください。
では「住宅用地の特例」とは何でしょうか。
1 住宅用地とは、固定資産税の賦課期日(毎年1月1日)現在、次のいずれかに該当するものをいいます。
(1) もっぱら人の居住の用に供する専用住宅の土地で、その住宅の床面積の10倍までの土地。
(2) 併用住宅(その一部を人の居住の用に供する家屋で、その家屋の床面積に対する居住部分の割合が1/4以上であるもの)の敷地のうち、その敷地面積に次頁の表の割合を乗じて得た面積。
なお、住宅用地の面積が、その家屋の床面積の10倍を超えているときは、床面積の10倍に次の表の割合を乗じた面積となります。
併用住宅の種類 居住用部分割合 住宅用地の率
地上4階建以下 1/4以上1/2未満 0.5
1/2以上 1.0
地上5階建以上 1/4以上1/2未満 0.5
1/2以上3/4未満 0.75
3/4以上 1.0
なお、1月1日現在、工事中の土地や建設予定地は住宅用地にはなりません。また、住宅を建替え中の場合も一定の要件を満たすもの以外は、住宅用地として認定されません。建替え中の場合の取扱いについては会計事務所か都県税事務所または市役所にお尋ねください。
2 住宅用地の課税標準の特例
次のように住宅1戸当り200m2までの土地に対する軽減額が、本稿で述べる「小規模住宅用地」の特例といわれるものです。
住宅用地の種類 特例額
小規模住宅用地
(住宅1戸当り200m2までの土地) 価格×1/6
一般住宅用地
(住宅1戸当り200m2を超える部分 価格×1/3
つまり、更地や、あるいは住宅以外の建物が建っている場合の土地に比べて、住宅が建っている土地は6分の1(200m2を超える部分は3分の1)の標準額になり、固定資産税が安くなる訳です。ただし、負担調整措置があるので空地に住宅を建てた場合、200m2までの部分の税額が必ずしも6分の1になるとは限りません。
また、住宅が存する限りこの特例は毎年適用されます。
小規模宅地の減額特例
1 特例の内容
相続または遺贈によって取得した財産のうちに、被相続人等(被相続人または被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族)の事業または居住の用に供されていた宅地等(借地権を含む)で、建物や構築物の敷地の用に供されているものがある場合には、相続人が取得したこれらの宅地等のうち限度面積までの部分(「小規模宅地」という。「小規模宅地の減額特例」について相続税の課税価格に算入すべき価額は、その宅地等の価額に、土地の用途区分に応じ、それぞれの減額割合を乗じた額を控除して計算した額とされています。
かなり複雑な仕組みで、大変わかりにくいと思いますが、この特例は以下のとおりです。
(1)相続の場合のみ適用されるものであること。
(2)残された遺産に土地がたくさんある場合であっても、それぞれの用途ごとに、それぞれの限度面積まで減額されるのではありません。
(3)それぞれの用途が混在している場合には、最も税額が安くなるように選択適用し、適用を受けられる面積は最大で400m2まで、というのが特徴です。(必ずしも相続税が安くなるためにこの特例を適用する訳ではありませんが)
2 用途が混在している場合
この場合の限度面積の計算は以下の計算式を用いて行います。
例えば、特定居住用宅地に該当する面積が190m2で路線価が最も高く、特定特例対象宅地(アパートの敷地のような不動産貸付等の宅地)が260m2であるときに、アパートの敷地のうちどのくらいの面積(Xとします)まで適用可能か?
190m2×5/3+Xm2×2≦400m2
Xm2×2 ≦400m2-190m2×5/3
Xm2 ≦(400m2-316.66m2)÷2
Xm2 ≦41.66m2
つまり、この事例の場合は、特定居住用宅地として190m2について80%減額、特定特例対象宅地として260m2のうち41.66m2について50%減額の適用を受けることができます。
用途が混在している場合に、どの宅地にどんな種類の小規模宅地の減額特例を受けたら有利かは会計事務所にお尋ねください。
以上により固定資産税の課税標準の特例である「小規模住宅用地」と、相続税の課税標準の特例である「小規模宅地」の減額特例の違いをご理解していただけたと思います。

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