アパート経営ゼミナール vol.39 賃貸住宅のトラブルを防止する東京都の新条例とは…

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vol.39 賃貸住宅のトラブルを防止する東京都の新条例とは…

 本年3月31日、東京都で「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」(条例第95号)および同条例の施行規則(規則第92号)が交付され、本年10月1日から施行されることとなりました。今回はこの条例についてお話します。

条例の目的(第1条)

 新条例は、宅地建物取引業法に基づいて免許を受けた業者(宅地建物取引業者)が、居住目的の建物(その一部の場合も含む)の賃貸借に伴い、借主に対しあらかじめ明らかにすべき内容を定めるなどして賃貸借に関する紛争の防止を図り、都民の住生活の安定に寄与することを目的としています。

宅地建物取引業者の説明義務(第2条)

 宅地建物取引業者が住宅の賃貸借契約の代理や仲介をする場合には、いわゆる重要事項の説明に加え、退去時における損耗等の復旧ならびに住宅の使用及び収益に必要な修繕に関して、また、紛争を防止するために東京都規則に定められている下記の事項を説明しなければなりません。
1  退去時における住宅の損耗等の復旧については、当事者間の特約がある場合または賃借人の責めに帰すべき事由により復旧の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること。
2 住宅の使用および収益に必要な修繕については、当事者間の特約がある場合、または賃借人の責めに帰すべき事由により修繕の必要が生じた場合を除き、賃貸人が行うとされていること。
3 当該住宅の賃貸借契約において賃借人の負担となる事項。
4  賃借人の入居期間中の設備等の修繕および維持管理等にする連絡先となる者の氏名(法人にあってはその商号または名称)ならびに住所(法人にあってはその主たる事務所の所在地)。

知事による紛争防止のための措置(第3乃至6条)

東京都知事は、宅地建物取引業者に対し下記のような措置をとることができます。
1 報告の聴取
 条例の施行に必要な限度において、宅地建物取引業者に対し、その業務に関する報告または資料の提出を求めることができます。
2 指導及び勧告
 宅地建物取引業者が、[2]の説明義務について対象とされている事項の全部もしくは一部について説明を行わなかったときや、上記1.の報告や資料の提出をせず、または、虚偽の報告や資料の提出をしたときは、知事は宅地建物取引業者に対し、説明、報告、資料の提出、虚偽内容の是正を指導および勧告できます。
3 公表
 宅地建物取引業者が、上記2.の指導および勧告に正当な理由もなく従わないときは、そのことを公表することができます。
 ただし、公表前に相当の期間を置いた上で、上記業者に意見を述べたり証拠を提示する機会を与えることとなっています。この場合、原則として書面(意見書)を提出することとされています。

新条例についての対応

 本条例は、宅地建物取引業者に対し、いわゆる重要事項の説明義務に加えて、退去時の原状回復義務等についての契約条件を賃借人に説明することを義務付けています。そして、上記のとおり原則として損耗等の復旧や使用収益に必要な修繕義務は、賃貸人の負担としています。つまり、原状回復等の義務について取り決めがない、あるいは説明がないという事態が起きないようにして紛争を防止しようとしています。
 宅地建物取引業者が賃貸借契約の代理や仲介をする場合に限られてはいるものの、このような説明義務を定めたことは、ひとつの防止策として評価できるところですが、この義務については、賃借人の責任である事由による場合と、契約時に特約がある場合は例外としています。
 このため、当事者間で上記原則と異なる特約をすることにより、復旧や修繕義務を賃借人に負担させるということも可能となっています。ただ、前々回にもお話したように、原状回復問題については国土交通省住宅局が平成10年3月に作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」があり、このガイドラインの考え方は、裁判例においても浸透してきており、これまでのように契約自由の原則として自由に取り決めができるという状況ではなくなってきていること(賃借人に不利な条項として無効という判断)も、念頭においておく必要があります。


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