アパート経営ゼミナール vol.36 平成16年度税制改正の要点(その1)

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vol.36 平成16年度税制改正の要点(その1)

 平成16年度の税制改正は、長く続いている資産デフレ不況から脱却するために欠かせない資産の活用による経済活性化を強く後押しする、という基本的な考え方が背景にあります。
 そのため土地の譲渡益課税の軽減、特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の創設、住宅ローン減税の延長措置などの改正が行われました。
 しかし一方では、土地・建物などの譲渡損失にかかる損益通算及び繰越控除の不適用という改悪も行われました。特に、後者は、本年度税制改正の主眼に「資産デフレ不況からの脱却」と「経済活性化」をうたいながら、土地の流通促進を阻害するだけでなく、しかも、平成16年1月1日に遡及して適用するという改正(この場合は改悪といえる)が、国民的な議論がなされないまま行われました。以下、本年度の改正の要点を順を追って解説いたします。

長期譲渡所得の税率の引下げ

 譲渡所得税については、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物などを譲渡した場合の税率が次のように改正されました。この改正は平成16年1月以後の譲渡から適用されます。

      改正前 改正後
(1)所得税 20% 15%
(2)住民税 6% 5%
計 26% 20%

(注) 所有期間の判定には次の点が重要です。
1. 譲渡した土地建物などを相続または贈与により取得したときは、前所有者の所有期間を引継ぎます。例えば、平成16年4月1日に譲渡した土地を平成15年3月1日に相続により取得した場合に、その土地を前所有者が平成10年1月31日に取得していたときは、平成10年1月31日から所有していたとしてものとみなされます。したがってこの場合は、譲渡した年の1月1日現在においては所有期間が5年超となりますので長期譲渡所得に該当します。
2. 所有期間の始期はその土地の引渡しを受けたとき、終期は引渡しをしたときを原則としますが、納税者の選択により始期、終期いずれも契約日をもとに所有期間の判定をしても良いことになっています。納税者は有利な方を選択しても構いません。

長期譲渡所得の100万円特別考控除の廃止

 長期譲渡所得については、譲渡収入から所得費と譲渡費用を控除し、さらに特別控除100万円を控除して算出しますが、本年度改正において100万円の特別控除が廃止されました。
 したがって上記「長期譲渡所得の税率の引下げ」の税率軽減が行われたものの、この100万円特別控除が廃止されたことにより20万円の税金(100万円×改正後の税率 20%)が増えることになりました。
 この改正は平成16年1月1日以後の譲渡から適用されます。

短期譲渡所得の税率の引下げ

 長期譲渡所得と同じように短期譲渡所得についても、平成16年1月1日以後の譲渡から税率が次のように引き下げられました。
 
 1.一般の短期譲渡所得
次の(1)または(2)のいずれか多い税額。
 
  改正前 改正後
(1)譲渡益の所得税 40% 30%
住民税 12% 9%
計 52% 39%
(2)総合課税に短期譲渡所得を
上積みしたときの上積み税額 110% 廃止
 
つまり、改正前(平成15年分まで)は上記(2)のように複雑な計算をしなければならず、納税者には分かりにくい仕組みでしたが、本年度改正により短期譲渡所得は青天井で39%の税率に一本化されました。
 ちなみに、短期譲渡所得とは、譲渡した年の1月1日現在において所有期間が5年以下の土地建物などを譲渡した場合の所得をいいます。

 2.国等に対する短期譲渡所得
次の(1)または(2)のいずれか多い税額。
 
  改正前 改正後
(1)譲渡益の所得税 20% 15%
住民税 6% 5%
計 26% 20%
(2)総合課税に短期譲渡所得を
上積みしたときの上積み税額 100% 廃止
 
つまり、改正前とくらべると青天井で20%の税率に一本化されました。
(注)所有期間の判定は、I.の(注)を参照。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の見直し

 平成15年の税制改正において、平成16年分から縮減される、つまり、次の<改正前>2.のように本則に戻ることになっていましたが、引き続き持家所得促進を通じた経済活性化と経済界の要望により平成20年分まで5年間にわたって段階的に縮小することとされました。。
 
 <改正前>
1.平成15年までに居住の用に供した場合(10年間)
 税額控除額(最高50万円)
 =年末借入金残高(5000万円まで)×1%
2.平成16年中に居住の用に供した場合(6年間)(本則)
 税額控除額(最高25万円)
 =年末借入金残高2000万円以下×1%
 +年末借入金残高2000万円超3000万円まで×0.5%
 
 <改正後>
居住年 控除期間 年末借入金残高 適用年 控除率 最大控除額
平成16年 10年 5000万円以下の部分 1~10年 1% 500万円
平成17年 10年 4000万円以下の部分 1~8年 1% 360万円
平成18年 10年 3000万円以下の部分 1~7年 1% 255万円
平成19年 10年 2500万円以下の部分 1~6年 1% 200万円
平成20年 10年 2000万円以下の部分 1~6年 1% 160万円

 平成16年度税制改正として上記のほか「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」、「土地建物等の譲渡損失にかかる損益通算の不適用」、「特定の居住用財産の買換え等の場合の繰越控除の要件緩和」、「特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除の創設」などがありますが、その解説は次回に譲ることとします。


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