アパート経営ゼミナール vol.34 平成15年分確定申告の注意事項

アパート経営ゼミナール

vol.34 平成15年分確定申告の注意事項

消費税の経理方式

 所得計算には、総収入と必要経費の金額に消費税を含めないで行う「税抜経理方式」と、含めて行う「税込経理方式」とがありますが、基準期間(課税期間の2年前の期間、平成15年分の場合は平成13年分)の課税売上が税抜きで3000万円以下である場合は、消費税が免除されているので、これに該当する個人事業者はすべて税込経理方式で計算します。
 アパート経営の場合は、住宅家賃収入のように非課税売上が大半なので消費税の納税義務免除事業者に該当すると思われます。したがって、以下に示す金額は、税込み金額であることを念頭においてお読みください。

平成15年分の主な改正事項

1.小額減価償却資産の必要経費参入の特例
 青色申告者が平成15年4月1日から平成18年3月31日までに、所得価額が30万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供したときは、その全額を必要経費として算入できることになりました。
2.上場株式に係る配当所得及び譲渡所得
 昨年に続き、これらの改正がいくつか行われましたが、複雑なので解説を省きます。該当する方は税務署か会計事務所にご相談ください。

申告に当たって注意すべき事項

1.小額減価償却資産の範囲
 所得価額が10万円未満の小額減価償却資産は全額必要経費に計上出来ます。
2.一括償却資産の必要経費の特例
 減価償却資産の所得価額が10万円を超え20万円未満のものについては、事業の用に供した年ごとに一括して、その所得価額の合計額を3年間で均等に必要経費に算入出来ます。または、その資産の法定耐用年数に応じた通常の減価償却計算も行えます。節税には前者の方法が有利でしょう。
3.建物の減価償却方法
(1) 平成10年3月31日以前に取得したもの
    → 定額法または定率法
(2) 平成10年4月1日以後に取得したもの
    → 定額法
 この場合、建物が新築か中古か否か、また、取得の原因が建築か購入か相続または贈与かを問わず「定額法」を採用しなければなりません。
4.建物以外の減価償却資産の償却方法
 建物付属施設(電気設備、給排水衛生設備、ガス設備、冷暖房設備、消火・排煙または災害報知設備など)、構築物(アスファルト舗装の駐車場など)、工具器具備品(エアコンなど)は定額法または定率法いずれかを採用出来ます。
 この部分について「定額法」を採用すれば節税になります。
5.償却方法選定の届出
(1) 新たにアパート経営など不動産貸付業を開始した場合 → 確定申告書の提出期限まで
したがって平成15年にアパート経営を開始した場合は今年の3月15日までとなります。
(2) 現に採用している償却方法を変更する場合 → その年の3月15日まで
したがって平成15年分から償却方法を変更する場合は、平成15年の3月15日までとなります。なお、上記3.(2)の建物は定額法しか採用出来ませんので、届出も変更も必要ありません。
6.年の中途でアパート経営を開始した場合の減価償却計算
 通常の償却費×(その年中に業務の用に供した月数÷12)=その年分の償却費
 「業務の用に供した月数」に1月未満の端数が生じたときは切り上げて1月とします。
 例えば、建築費3000万円、耐用年数27年(定額法による償却率0.037)、平成15年3月23日取得、とした場合の減価償却計算は次のようになります。
 3000万円×0.9×0.037×10/12=83.25万
7.損益通算
 アパート経営が赤字のときは、給与など他の所得の黒字と損益通算が出来ます。この場合は確定申告することにより、納めすぎの源泉所得税が還付されます。
8.青色申告特別控除
 青色申告の承認を得ている場合の特典。通常の必要経費に加えて所得から控除され、(1)55万円(2)45万円(3)10万円の三種類があります。
 (1)の55万円は、アパート経営が事業的規模(いわゆる5棟10室基準)であり、正規の簿記原則に基づく帳簿記録により作成された貸借対照表と損益計算書を申告書に添付し、さらに提出期限内に申告書を提出することが必要です。
 (2)の45万円は、上記(1)の経過措置として、正規の簿記原則を採用せずに、簡易な簿記記録に基づく貸借対照表と損益計算書を添付したときは、55万円に代えて45万円の特別控除の適用を受けることができるとされています。
 あくまでも(1)の55万円が原則であって、(2)の45万円は、納税者が正規の簿記原則に習熟するまでの経過措置であって、平成17年分まで適用が認められます。
 (1)の10万円は、アパート経営が事業的規模以下の場合、あるいは、事業的規模以上であっても上記(1)または(2)の要件を満たさないときに認められる控除額です。詳しくは税務署または会計事務所にお尋ねください。
 アパートなど不動産貸付業が“事業的規模”かどうかは、いわゆる5棟10室基準を満たすかどうかで判定されます。具体的には次のとおりです。
 [1]アパートなど共同住宅の場合
 国内外で経営しているアパートが、10世帯以上であれば事業的規模とみなされます。マンションも同様です。なお、10世帯以上という要件は1棟である必要はなく、2棟以上のアパートの合計が10世帯以上あれば良いのです。
 [2]独立家屋の場合
 1戸建てのような独立家屋の貸付は5棟以上であれば事業的規模とみなされます。
 [3]貸地の場合
 貸付件数が50件以上であれば事業的規模とみなされます。5件がアパート1世帯に相当します。
 [4]駐車場の場合
 いわゆる青空駐車場は、保管台数が50台以上であれば事業的規模とされます。つまり5台がアパート1世帯に相当します。パーキングタワーや時間貸し駐車場で、管理人を置いているような駐車場は、事業所得または雑所得とされますので、この扱いから除外されます。
 上記(1)および(2)については「5棟10室基準」とよばれるもので従来どおりですが、二つ以上の形態、たとえば、アパート8世帯と貸地10件、あるいはアパート6世帯と貸地10件と駐車場10台のような場合は、貸地5件または駐車場5台をアパート1世帯とみなす扱いですので、それぞれ10世帯と同様の取扱いとなります。
9.青色申告の承認申請
 青色申告特別控除の適用を受けようとする人は次の期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
(1)初めて不動産貸付業を経営する人
 次の期間内に届出を行った人は、平成15年分から青色申告をすることができます。
1) 平成15年1月1日から15日までにアパートなど不動産貸付業を初めて経営する人 → その年の3月15日まで
2) 平成15年1月16日以後にアパートなど不動産貸付業を初めて経営する人 → 業務を開始した日から2ヶ月以内
 したがって平成15年に初めてアパート経営を始めたものの、上記期限内に届出をしなかった人で、平成16年分から青色申告をしたい人は、平成16年3月15日までに承認申請を行えば、平成16年分から適用されます。
(2)すでに不動産貸付業を行っているが、平成15年分から青色申告をしたい人 → 平成16年の3月15日まで

所得税の確定申告をしなければならない人

1.一般の人
 総所得金額(分離課税の譲渡所得等を含む)が雑損控除等の所得控除額を超え、その超える額に税率を適用して計算した所得税が、配当控除額と年末調整に係る住宅所得控除額と定率減税額の合計額を超える人。
2.給与所得者
(1) その年中の給与収入等が2000万円を超える人。
(2) 1ヶ所からの給与収入等が2000万円以下の人で、給与所得以外の所得(たとえば、アパートなどの不動産所得)が20万円(アパートでいえば、平成15年中の総収入金額から必要経費を控除した額をいいます)を超える人。
(3) 2ヶ所以上から給与収入等の支払を受けている人で、源泉徴収はされているが年末調整を受けない従たる給与収入と、給与所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人。
 ただし、その年中の給与収入等から雑損控除・医療費控除・寄付金控除以外の所得控除(社会保険料控除など)を差し引いた残金が150万円以下で、かつ、給与所得以外の所得合計額が20万円以下の人は、確定申告をする必要はありません。
(4) 同族会社の役員またはその親族等で、役員となっている会社にアパート、事務所や事業用資金を貸し付けて対価を得ている人。これらの貸付けから生ずる所得が20万円未満であっても申告をしなければなりません。


ページの先頭へ

>> アパート経営ゼミナール 一覧ページへ