アパート経営ゼミナール vol.28 平成15年度税制改正のポイント(その3)

アパート経営ゼミナール

vol.28 平成15年度税制改正のポイント(その3)

 vol.23、vol.26に引き続き平成15年度の税制改正の中から、アパート経営に関係の深いと思われる内容について解説いたします。

消費税

1.  消費税の事業者免税点が3000万円以下から1000万円以下に引下げられました。この改正は平成16年4月1日以後に開始される課税期間から適用されます。(本稿ではこの部分のみ解説いたします)
2.  簡易課税制度の適用上限が、基準期間の課税売上高2億円から5000万円以下に引下げられました。この改正は平成16年4月1日以後に開始される課税期間から適用されます。
 消費税については「住宅の貸付け」は非課税とされています。アパート経営の場合の主な注意点は次のとおりです。
(1) 「住宅の貸付け」は、賃貸借契約において人の居住の用に供されることが明らかにされているものに限られ、住宅の貸付期間が1カ月に満たない場合や旅館業に係る施設の貸付けは課税されることになっています。
 したがって、貸借人が、事務所として使用していても、賃貸借契約書において「住宅用」と明記している限りは、その家賃は非課税とされます。
(2)  また、契約書において使用目的が「住宅用または事務所用」と書かれている場合は、人の居住の用に供されることが「明らかでない」ため、その家賃は課税扱いとされます。
(3)  一方、例えば不動産業者に一括転貸する場合において、貸借人(不動産業者)が自ら使用しない場合であっても、契約書において貸借人(不動産業者)が住宅として転貸することが明らかな場合には住宅の貸付けとみなされるので、この場合の貸借人(不動産業者)からもらう家賃は非課税扱いになります。もちろん、この場合に貸借人(不動産業者)が行う住宅の転貸も住宅の貸付け、すなわち、非課税扱いとなります。
(4)  駐車場についてはどうでしょうか。土地の貸付けは非課税とされていますが、駐車場その他の施設に伴って使用させる場合のその土地を使用させる行為は、課税の対象となります。
(5)  したがって、駐車場や駐輪場として土地を使用させる場合に、地面の整備またはフェンス、区画、建物の設置をしていない、文字どおりの青空駐車場や青空駐輪場は、土地の貸付けとされますので、その賃貸料は非課税扱いになります。
(6)  上記(4)(5)は、駐車場などを独立した施設として貸付けを行っている場合ですが、アパートに付随した駐車場については次のように扱われます。
 つまり、アパート入居者について1戸当り1台分以上のスペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割当てられる場合で、住宅家賃とは別に駐車料をもらっていないものについては、駐車場部分を含めた全体が「住宅の貸付け」に該当するもの、つまり、非課税扱いになります。
 したがって、この要件に該当しない駐車料は、単なる土地の貸付けとみなされない駐車場でない限り、消費税が課税されることになります。
 このようにアパート経営の場合の消費税は複雑ですが、消費税が課税される場合を要約すると次のようになります。

(1)  賃貸借契約書において、その使用目的が「住宅用または事務所用」あるいは単に「事務所用」「店舗用」のように表記されており、「人の居住の用に供されることが明らかでない」とき。
(2).  駐車場については、1)自動車保有の有無にかかわらず入居者について1戸当り1台分以上のスペースの割当てがあり、2)駐車料を住宅家賃と別にもらっていない場合、のいずれの要件をも満たさないとき。
(3)  独立した駐車場については、単なる土地の貸付けに該当しない(青空駐車場)もので地面の整備などの施設が施されているとき。
〈事業者免税点の引下げ〉(15年度改正)
 上記(1)から(3)に該当する場合は消費税が課税される訳ですが、基準期間(*1)においてこれらの合計額が3000万円を超えている者は、たとえ課税期間(*2)における課税売上が3000万円以下であっても、その課税期間は消費税の納税義務が発生します。
 15年度において、この免税点3000万円以下が1000万円以下に引下げられました。適用時期は、平成16年4月1日以後に開始される課税期間からです。個人事業者は平成17年分から、法人は平成17年3月期から適用されることになります。
* 1.基準期間
個人事業者 その年の前々年
法   人 その事業年度の前々事業年度
* 2.課税期間
個人事業者 1月1日から12月31日まで
法   人 事業年度

 したがって、個人事業者の場合でいえば、基準期間である平成15年分における課税売上高が仮に1050万円であったときは、平成17年分の課税売上高が1000万円以下(仮に900万円)であっても納税義務が発生します。
 反対に、平成15年の課税売上高が1000万円以下(たとえば900万)であったときは、平成17年分の課税売上高が1000万円超(仮に1100万円)であったとしても、納税義務はありません。
 なお、基準期間(課税期間が平成17年のときは平成15年)において免税事業者(改正前は3000万円以下ですが…)であった個人事業者の場合の基準期間の課税売上高の判定は、消費税を含めて1000万円以下であったかどうかで判定します。
 このように免税点引下げに伴い、アパートだけでなく貸しビルや駐車場などを大規模に賃貸しているアパート経営者の場合は、賃貸収入を課税売上と非課税売上との2つに区分し、納付すべき消費税がどのくらいになるかあらかじめ試算し、納税資金を確保する必要があるでしょう。

住宅取得ローン税額控除制度

 住宅取得ローン税額控除について、再入居の場合も住宅ローン控除が適用されることになりました。この取扱いは平成15年4月1日以後に居住の用に供さなくなったものから適用されます。
 従来、自己専用住宅を取得して住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤などの理由によりその住宅に居住しなくなった場合は、その後、再入居しても税額控除の適用は不可能でした。
 今回の改正は、転勤などの事由が解消し、その住宅に再入居したときは、一定の要件の下で、再入居した年から控除適用期間まで再適用が受けられることになりました。
 このような住宅ローン控除の再適用を受けるには、次の要件をすべて満たすことが必要とされます。
(1) その家屋に居住しなくなった前年分以前に住宅ローン控除の適用を受けていたこと。
(2) 居住しなくなった理由が、転勤などやむを得ない事由に起因していること。
(3) 再入居の日が、居住年に応じ次の期間内であること。
 この期間は、居住年が平成10年以後の年分により控除適用期間が異なりますので、具体的には税務署等でお確かめください。
(4) 再入居の年以後の各年において、その年の12月31日まで引き続き居住していること。
(5) その家屋を居住しなくなる日までに、居住しなくなる事情の詳細などを記載した届出書を、家屋の所在地の税務署長に提出していること。
(6) 再適用を受ける最初の年分の確定申告書に住宅ローン控除に関する記載をするとともに、控除計算明細書、住民票、ローン年末残高証明書を添付すること。
 なお、その家屋を賃貸していたときは、再入居の翌年からの再適用となります。転勤期間中に賃貸していた人は、この点の注意が必要です。さらに、居住していた家屋を賃貸する場合は、減価償却方法や借入金利息の必要経費算入について注意すべき点がありますので、その際は税務署か会計事務所にお尋ねください。


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