アパート経営ゼミナール vol.23 平成15年度税制改正のポイント(その1)

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vol.23 平成15年度税制改正のポイント(その1)

写真:鴛海量良氏(公認会計士・税理士)

鴛海量良氏
(公認会計士・税理士)


15年度も税制改正が行われました。今年度の税制改正は、「持続的な経済社会の活性化」に主眼が置かれ、土地・住宅や相続税関係の改正もその趣旨に合わせて行われました。平成15年度税制改正の要点を解説します。

登録免許税の改正

1.不動産価額の特例の廃止
 平成8年4月1日から平成15年3月31日までに、土地に対する所有権移転登記などに係る登録免許税の課税標準を固定資産税評価額の3分の1相当額とする特例が廃止されました。
2.不動産登記に係る税率の改正
 上記1.の価額の特例廃止にともない、一方で、次のように税率が個人法人を問わず軽減されることになりました。
 改正後の税率は、暫定期間を経て2段階に分けて適用されます。
〈主な所有権移転登記〉
改正前 改正後
登記原因 ~15/3/31  15/4/1  
~18/3/31 18/4/1~
(1)相続(注1)
 6/1000 → 2/1000  4/1000
(2)法人の合併
 6/1000 → 2/1000  4/1000
(3)遺贈、贈与
 25/1000 →  10/1000   20/1000
(4)売買
50/1000 →  10/1000   20/1000
(5)保存
6/1000 → 2/1000  4/1000
(6)共有物の分割(注2)
6/1000 → 2/1000  4/1000

  注1.従来、相続人に対する遺贈は、上記(3)の「遺贈、贈与」による税率が適用されていましたが、今回の改正では上記(1)の「相続」による税率が適用できることになりました。
注2.共有物の分割の場合は、その共有物について有していた持分に応じた価額に対応する部分に限られます。
 今回の改正を土地についてみると、上記1.のように課税標準が不動産価格(固定資産税評価相当額)の3分の1とする特例が廃止された代わりに、税率は平成15年4月1日から3年間は軽減するという暫定措置が取られています。
 以下、登記目的または原因別に改正前と後の税額を比較してみると次のようになります。この場合、土地の固定資産税評価相当額を900万円と仮定します
イ.(1)相続(2)合併(5)保存(6)共有物の分割の場合
改正前(~15/3/31)
 900万円×1/3×6/1000=18,000円
改正後(暫定措置期間 15/4/1~18/3/31)
 900万円×2/1000=18,000円
改正後(本則 18/4/1以後)
 900万円×4/1000=36,000円
 これらの場合は、上記1の不動産価額(固定資産税評価相当額)の3分の1特例が廃止された代わりに、税率が3分の1に軽減されたため暫定措置期間中(15/4/1~18/3/31)の税額は、改正前と変わりません。
 しかし、本則適用後(18/4/1以後)の税額は2倍となりますが、本則による税率が6/1000から4/1000に引下げられていることと、課税標準である固定資産税評価相当額が平成8年月3日31日以前と比べて相対的に低下しているために税額の負担感が緩和されていることから、やむを得ないことかもしれません。

ロ.(3)遣贈、贈与
改正前(~15/3/31)
 900万円×1/3×25/1000=75,000円
改正後(暫定措置期間 15/4/1~18/3/31)
 900万円×10/1000=90,000円
改正後(本則 18/4/1以後)
 900万円×20/1000=180,000円
 平成8年3月31日以前は課税標準を3分の1とする特例がなかったので、225,000円(900万円×25/1000)でしたが、改正後の本則による税額は、これより20%下がっています
ハ.(4)売買
改正前(~15/3/31)
 900万円×1/3×50/1000=150,000円
改正後(暫定措置期間 15/4/1~18/3/31)
 900万円×10/1000=90,000円
改正後(本則 18/4/1以後)
 900万円×20/1000=180,000円
 上記ロと同じように計算すると、平成8年3月31日以前は450,000円(900万円×50/1000)でしたが、改正後の本則による税額は、これより60%も下がっています。
 一方、建物については課税標準の減額特例はありませんでしたので、改正後の税率は、暫定措置期間、本則を問わず、改正前の税率の引き下げが行われたことになります。
 また、平成15年3月31日までに適用された次の税率の軽減特例はいずれも平成17年3月31日までの2年間、期限が延長されました。
イ.所有権の保存登記 1.5/1000(本則4/1000)
(要件)
(1) 個人が床面積50m2以上の住宅を新築して居住し、新築後1年以内にする保存登記。
(2) 個人が床面積50m2以上の建築後未使用の住宅を収得して居住し、取得後1年以内にする保存登記。
ロ.所有権の移転登記 3/1000(本則20/1000)
(要件)
(1) 個人が床面積50m2以上の新築住宅で未使用のものを取得して居住し、原則として1年以内にする移転登記。
(2) 個人が居住の用に供するため、床面積50m2以上の中古住宅で取得日以前20年(耐火建築物は25年)以内に建築されたものを取得し、原則として、その取得後1年以内にする移転登記。
 通常、請負契約による住宅の取得は「所有権保存」を目的として、売買による住宅の取得は「売買」を原因として登記されますので、上記イ.の(2)とロ.の(1)は、新築未使用の住宅を売買で取得する点においては同じとなります。しかし、登記原因を「所有権保存」とした場合は税率が1.5/1000、「売買」とした場合は税率が3/1000になります。
 また、住宅取得資金の貸付等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減特例(特例税率1/1000、本則4/1000)は、平成17年3月31日まで2年間、期限延長されました。その対象となる住宅の要件は上記イ.及びロ.に掲げたものと同じです。

不動産取得税

平成15年4月1日から平成18年3月31日までに不動産の取得が行われた場合において、現行の標準税率4%に代えて一律3%とすることとされました。
1.改正前の不動産取得税の税率は、
(1) 平成16年6月30日までに取得した住宅
(2) 平成16年6月30日までに取得した次の土地
イ. 土地を取得した日から3年以内に、その土地の上に住宅(特定の要件は不要、以下同じ)を新築した場合
ロ. 土地を取得して3年以内に、その土地の上にある住宅を取得または新築した場合
ハ. 住宅を取得または新築した後、1年以内にその敷地を取得した場合に限り税率3%を適用していました。ただし、上記(2)については本則4%に3/4を乗じる方法で実質3%にしていた訳ですが…。
 したがって改正後の標準税率3%は、上記以外の不動産の取得、すなわち、上記(2)イ.ロ.ハ.いずれも要件を満たさない住宅用地、住宅以外の建物が建っている土地、空き地、住宅以外の建物の収得に対して適用されることになりました。
2. 不動産取得税の課税標準は、その不動産の固定資産税評価相当額の2分の1とする特例が平成14年12月31日まで適用されていましたが、今年度の改正においてさらに3年間、平成17年は12月31日まで期限が延長されました。

印紙税

印紙税については、不動産の譲渡契約書、建物の建設工事請負契約書に記載された金額が1000万円を超える場合の印紙税の特例は、平成15年3月31までに作成された契約書に適用されていましたが、その特例は今年度の改正において平成17年3月31日まで2年間延長されました。


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