アパート経営ゼミナール vol.22 平成14年分確定申告の注意点

アパート経営ゼミナール

vol.22 平成14年分確定申告の注意点

今年も、慣例の確定申告の時期が近づいてまいりました。今回は、平成14年分の確定申告にあたり、主として所得税についてどのような点に注意をしたら良いのか、というテーマで解説します。
 なお、今年の各税金の申告及び納税期限は次のとおりです。
  贈与税 2月3日(月)から3月17日(月)
  所得税 2月17日(月)から3月17日(月)
  消費税 1月1日から3月31日(月)

平成14年分の主な改正事項

平成14年は特に大きな改正点はありませんが、青色申告特別控除45万円の適用を受けることができる経過措置の適用期限が平成17年分まで3年延長されました(後述II-8参照)。

申告に当たって注意すべき事項

1.少額減価償却資産の範囲
 取得価格が10万円未満の少額減価償却資産は全額必要経費に計上出来ます。消費税についての会計処理が、税込処理方式を採用しているときは消費税込みの金額により、税抜処理方式を採用しているときは消費税抜きの金額により、10万円未満かどうかを判定します。この基準は以下同じです。
 また、アパートの家賃収入は、消費税が非課税とされる住宅家賃ですので、税込処理方式が普通です。
2.一括償却資産の必要経費の特例
 減価償却資産の取得価格が10万円を超え20万円未満のものについては、事業の用に供した年ごとに一括して、その取得価格の合計額を3年間で均等に必要経費に算入出来ます。しかし、その資産の法定耐用年数にしたがって通常の減価償却計算をすることも出来ます。節税には前者の方法が有利でしょう。
3.建物の減価償却方法
1) 平成10年3月31日以前に取得したもの
   → 定額法または定率法
2) 平成10年4月1日以後に取得したもの
 → 定額法。この場合、建物が新築か中古か否か、また、取得の原因が建築か購入か相続または贈与かを問わず定額法を採用しなければなりません。
4.建物以外の減価償却資産の償却方法
 建物付属設備(電気設備、給排水衛生設備、ガス設備、冷暖房設備、消火・排煙または災害報知設備など)、構築物(アスファルト舗装の駐車場など)、工具器具備品(エアコンなど)は定額法または定率法いずれかを採用出来ます。
 したがって見積書の内訳を詳細に見て行けば建物附属設備に含められるものがあり、この部分について定率法を採用すれば節税になります。
5.償却方法選定の届出
1) 新たにアパートなど不動産貸付業を開始した場合
   → 確定申告書の提出期限まで。
 したがって平成14年にアパート経営を開始した場合は今年の3月15日までとなります(ただし、3月15日が土曜日の休日に当たるので、実際には17日の月曜日が期限になります。以下同じ)。
2) 現に採用している償却方法を変更しようとする場合
   → その年の3月15日まで。
 したがって平成15年分から償却方法を変更する場合は、今年の3月15日までとなります。
 なお、上記3.2)の建物は定額法しか採用出来ませんので、届出も変更もする必要はありません。

6.年の中途でアパート経営を開始した場合の減価償却計算
通常の償却費×(その年中に業務の用に供した月数÷12)=その年分の償却費
 「業務の用に供した月数」に1月未満の端数が生じたときは切り上げて1月とします。
 例えば、建築費3000万円、耐用年数27年(定額法による償却率0.037)、平成14年3月23日取得、とした場合の減価償却計算は次のようになります。
3000万円×0.9×0.037×10/12=83.25万円
7.損益通算
 アパートの経営が赤字のときは、給与など他の所得の黒字と損益通算が出来ます。この場合は確定申告することにより、納めすぎの源泉所得税が還付されます。
8.青色申告特別控除
 文字どおり青色申告の承認を得ている場合の特典。通常の必要経費に加えて所得から控除され、1)55万円2)45万円3)10万円の三種類があります。
 1)の55万円は、アパート経営が事業的規模(いわゆる5棟10室基準)であること、正規の簿記原則に基づく帳簿記録により作成された貸借対照表と損益計算書を申告書に添付し、さらに提出期限内に申告書を提出することが必要です。
 2)の45万円は、上記1)の経過措置として、正規の簿記原則を採用せずに、簡易な簿記記録に基づく貸借対照表と損益計算書を添付したときは、55万円に代えて45万円の特別控除の適用を受けることができることとされています。
 あくまでも1)の55万円が原則であって、2)の45万円は、納税者が正規の簿記原則に習熟するまでの経過措置です。この経過措置が3年間延長(平成17年まで)されたことは前述のとおりです。
 3)の10万円は、アパート経営が事業的規模以下の場合、あるいは、事業的規模以上であっても上記1)または2)の要件を満たさないときに認められる控除額です。詳しくは税務署または会計事務所にお尋ねください。
 アパートなど不動産貸付業が“事業的規模”かどうかは、いわゆる5棟10室基準で判定されます。具体的には次のとおりです。
1) アパートなど共同住宅の場合
 国内外で経営しているアパートが、10世帯以上であれば事業的規模とみなされます。マンションも同様です。
 なお、10世帯以上という要件は1棟である必要はなく、2棟以上のアパートを合計して10世帯以上あれば良いのです。
2) 独立家屋の場合
 1戸建てのような独立家屋の貸付は5棟以上であれば事業的規模とみなされます。
3) 貸地の場合
 貸付件数が50件以上であれば事業的規模とみなされます。この場合の5件は、アパート1世帯に相当します。
4) 駐車場の場合
 いわゆる青空駐車場は、保管台数が50台以上であれば事業的規模とされます。パーキングタワーや時間貸しの駐車場で、管理人を置いているような駐車場は、事業所得または雑所得とされますので、この扱いから除外されます。
 この場合の5台はアパート1世帯に相当します。
 上記1)および2)については「5棟10室基準」とよばれるもので従来どおりですが、二つ以上の形態、たとえば、アパート8世帯と貸地10件、あるいはアパート6世帯と貸地10件と駐車場10台のような場合は、貸地5件または駐車場5台をアパート1世帯とみなす扱いですので、それぞれ10世帯と同様の取扱いとなります。
9.青色申告の承認申請
 青色申告特別控除の適用を受けようとする人は次の期限までに納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。 
(1)初めて不動産貸付業を経営する人
1) その年の1月1日から15日までにアパートなど不動産貸付業を初めて経営する人
  → その年の3月16日まで
2) その年の1月16日以後にアパートなど不動産貸付業を初めて経営する人
  → 業務を開始した日から2ヵ月以内
 したがって昨年(平成14年)に初めてアパート経営を始めたものの、上記期限内に届出をしなかった人で、翌年から青色申告をしたい人は、今年の3月15日までに承認申請を行えば、平成15年分から適用されます。
(2)すでに不動産貸付業を行っているが、平成15年分から青色申告をしたい人
  → 今年の3月15日まで

所得税の確定申告をしなければならない人

1.一般の人
 総所得金額(分離課税の譲渡所得等を含む)が雑損控除等の所得控除額を超え、その超える額に税率を適用して計算した所得税が、配当控除額と年末調整に係る住宅取得控除額と定率減税額の合計額を超える人。
2.給与所得者
1) その年中の給与収入等が2000万円を超える人。
2) 1ヵ所からの給与収入が2000万円以下の人で、給与所得以外の所得(たとえば、アパートなどの不動産所得)が20万円(アパートでいえば、平成14年中の総収入金額から必要経費を控除した額をいいます)を超える人。
3) 2ヵ所以上から給与収入等の支払を受けている人で、源泉徴収はされているが年末調整を受けない従たる給与収入と、給与所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人。
4) 同族会社の役員またはその親族等で、役員となっている会社にアパート、事務所事業用資金を貸し付けて対価を得ている人。これらの貸付けから生ずる所得が20万円未満であっても申告をしなければなりません。


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