アパート経営ゼミナール vol.19 高齢者の財産管理と「任意後見制度」

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vol.19 高齢者の財産管理と「任意後見制度」

我が国においては急速に高齢化や少子化の現象が進んでいます。それとともに、高齢者が財産を横領されたり、他人の保証人にさせられて被害を受けるといった例も見受けられます。本格化する高齢化社会を目前に、アパートなどの不動産を含む将来の資産管理をどのようにすればよいのかといった問題は、もはや避けては通れない問題といえます。このような観点から、平成12年4月1日から新しい「成年後見制度」が施行されました。成年後見制度には、法律の定めに従って家庭裁判所が成年後見人を選任する「法定後見制度」(従来の禁治産、準禁治産などに相当するものです)と本人が後見事務について後見人に代理権を付与するという「任意後見制度」があります。今回は、この任意後見制度について要点をご説明したいと思います。

任意後見制度とは

 任意後見制度とは、本人が契約締結に必要な判断能力がある間に、将来自分の判断能力が不十分になってしまった場合に備えて、将来の代理権を付与する「任意後見制度」を締結することによって、任意後見人が財産の管理(預金や不動産などの管理)や生活・療養看護などについての事務を行うという制度です。つまり、現在は何も問題がなくとも、将来自分に判断能力がなくなってしまった場合に、果たして自分の財産は守られるか、という不安を解消するために、自分の判断能力に問題がない時点で、自分が信頼できる人をあらかじめ任意後見人に選任しておき、万が一の時には、その任意後見人に自分の財産を守ってもらい、任意後見人の後見事務については、それが適正に行われているのかどうかを家庭裁判所の選任する監督人が監督してくれる、という制度なのです。
 「任意」契約とはいっても、あくまで家庭裁判所の監督を受けるものですから、その意味で言うならば公的な制度と言って良いものです。

任意後見契約の締結

1)公証役場での公正証書作成
 このような任意後見契約を締結するには、公証人の作成する「公正証書」によるところが必要となります。したがって、本人と任意後見人になろうとする者が公証役場に赴いて公正証書を作成してもらうことになります。もっとも、公証役場に赴くことが困難である場合には、公証人が本人の自宅などに出張してきてくれる場合もあります。
(2)任意後見人の資格
 任意後見人の資格ついては、法律上の制限はなく、本人の選択に委ねられています。 ですから、ご自分の一番信頼のおける人を選任するということも可能ですし、専門家に任せたいというのであれば弁護士などを選任するということも可能です。また、複数の人を任意後見人にするということも可能です。そして、任意後見人には法人がなることも可能ですから、社会福祉協議会や社会福祉法人、銀行といった法人を任意後見人に選任することもできるということになります。
(3)任意後見の登記
 任意後見契約の作成を公証人に依頼し、公正証書が作成されると、任意後見契約の内容が登記されることになります。 ただし、この登記は、公証人の嘱託によって行われますので、本人や任意後見人が登記手続をとる必要はありません。
(4)登記内容の開示
 任意後見の内容が登記されると、その内容は、証明書等の交付によって開示されることになります。 しかし、この証明書の交付を請求できる者は登記に記録されている者とその他交付を受ける必要のある一定の者に限定されていますので、誰でも自由に登記の内容を閲覧できるというわけではありません。
(5)後見事務の開始
 任意後見契約を締結したとしても、すぐに後見事務が開始されるわけではありません。あくまでも本人の判断能力が不十分な状況に陥ってしまい、後見人による事務処理が必要と判断される場合にはじめて開始されることになります。その判断は、家庭裁判所において行われます。
(6)任意後見監督人の選任
 そこで任意後見事務を開始するためには、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申立て、任意後見監督人を選任してもらわなくてはなりません。 この任意後見監督人が選任されると、その監督の下で任意後見人が本人に代わって財産管理などの事務を行うということになります。 この申立ては、本人や配偶者、四親等内の親族、任意後見人になろうとする者がすることができます。

財産管理契約による財産管理

 このように任意後見制度は、あくまでも本人の判断能力が不十分な状況になってしまった場合の制度ですが、任意後見契約を締結した時点、つまり判断能力の点に全く問題がない時点であっても信頼できる人に財産管理を任せてしまいたいという場合もあろうかと思います。そのような場合には一般的な財産管理契約によって財産管理を委任するということも可能です。また、当然のことですが一般的な財産管理契約と任意後見契約とを併用することも可能です。
 このような契約を併用することによって、任意後見契約にスムーズに移行することが可能になるでしょうから、安心して財産管理を任せることができるといえましょう。なお、この財産管理契約は、必ずしも公正証書を作成しなければならないというわけではありませんが、公正証書を作成しておいた方が安心といえるでしょう。


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