
vol.16 平成14年度税制の改正のポイント
鴛海量良氏
(公認会計士・税理士)
「アパート経営と必要経費」シリーズを一休みして、今回は、平成14年度の税制改正について解説いたします。大きな改正はありませんが、ポイントを整理しておきましょう。
譲渡所得関係の改正
個人の長期譲渡所得の課税の特例制度の改正
平成15年12月31日までその適用が停止されている土地・建物等に係る長期譲渡所得に対する所得税の税率について、課税長期譲渡所得金額8000万円超の部分の税率が、次のように改正されました。
譲渡所得 改正前 改正後
4000万円以下 20%(26.0%) 20%(26.0%)
8000万円以下 25%(32.5%) 25%(32.5%)
8000万円超 30%(39.0%) 25%(32.5%)
(注) カッコ内は住民税を含む税率
上記改正前の税率は、平成15年12月31日まで適用され、現行の税率は一律26%(内住民税6%)とされていますが、平成16年1月1日以後の長期譲渡所得については、改正後の税率が適用されます。景気低迷の中での税率引き上げは理解に苦しむところです。
(注) 分離課税譲渡所得は
譲渡収入 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除
の算式で計算されます。譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える資産を譲渡した場合は、長期譲渡所得に該当します。
青色申告関係の改正
青色申告特別控除の特例措置の適用関係の延長
青色申告特別控除について、経過的に認められている簡易な簿記の方法により記録している者に係る特例措置(45万円の特別控除)の適用期限が平成17年分まで(改正前14年分まで)延長されました。
(注) 青色申告特別控除は(1)55万円(2)45万円(3)10万円の三種類があります。
(1)と(2)は、青色申告の承認を得ている場合で、かつ、アパートが "事業" といえる程度の規模、すなわち10世帯以上(独立家屋の貸付けは5棟以上)の場合に適用されます。それでは(1)と(2)の違いは何か、といえば、複式簿記に基づく帳簿を作成し、それにしたがって貸借対照表と損益計算書を所得税の確定申告書に添付したときに必要経費として(1)55万円を計上出来ます。一方、複式簿記によらず、簡易的な簿記記録により作成貸借対照表と損益計算表を確定申告に添付したときは(2)45万円を必要経費として認めてもらうことができます。
(3)10万円は、したがって、 "事業" といえない規模(10世帯未満)の場合や、(1)または(2)を選択しない青色申告者に認められる控除額です。
不動産取得税関係の改正
住宅用地に係る税額の減額措置の適用対象要件の見直し(平成14年4月1日以後の所得について適用)
(1) 新築者に係る要件が緩和されました。
土地を取得して3年以内に住宅が新築されれば、新築者を問わないこととする。
(2) 土地継続所有要件が緩和されました。
土地所有者から当該土地を取得した者が、当該土地所有者が当該土地を取得してから3年以内に住宅を新築した場合は、土地継続所有要件は不要とする。
(注) 土地を取得した人が、その上に特例適用住宅(床面積50m2以上240m2以下のもの、アパートなどの共同住宅である賃家住宅世帯当たり床面積が40m2以上240m2以下のものをいいます)を新築したときは、次の(2)のイまたはロのいずれかを多い額を、(1)の土地の不動産取得税から減額されます(これを特定住宅用地の減額特例と呼びます)。
[1]土地の不動産取得税
土地の固定資産税評価額×1÷2×3%
[2]特定住宅用地の減額
イ.150万円×3% (=45000円)
ロ.土地の1m2当たり固定資産税評価額 × 1 ÷ 2
× 床面積の2倍(ただし200を限度) × 3%
この算式によれば、住宅床面積が100m2以上であれば、土地の面積が200m2までは不動産取得税がかからないことが分かります。
(注) 上記の特例措置を受けるために、改正前は原則として土地を取得してから3年以内に、その土地を取得した人が建物を新築しなければならなかったのですが、改正後は新築者を問わないこと、また、土地継続所有要件も問われないこととされました。
したがって、例えば
<1>親が取得した土地に子が新築する場合
→ 上記 (1) の場合
<2>土地を取得した親が死亡し、その土地を相続により取得した子が新築する場合
→ 上記 (2) の場合
<3>不動産業者が取得した土地を譲渡し、譲渡を受けた者がその土地に新築する場合の不動産業者(いわゆる建築条件付土地の譲渡)
→ 上記 (3) の場合
<4>上記③の場合で、建物を新築した人
→ 土地と建物取得者同一のため適用可などは、特定住宅用地の減額措置の適用を受けることができるようになりました。
固定資産税関係の改正
新築住宅及び新築中高層耐火建築住宅に係る減額措置(平成14年度分の固定資産税から適用)
新築住宅及び新築中高層耐火建築住宅に係る固定資産税の減額措置について、対象住宅の新築期限を平成16年3月31日(改正前平成14年3月31日)まで延長することとされました。
(注) 土地または建物にかかる固定資産税は、その土地または建物の固定資産税評価額(正しくは課税標準額)に対して1.4%の税率を乗じた額ですが、建物の固定資産税は、一定の要件を満たせば床面積120m2までの部分のうち、2分の1の税額を3年間(中高層耐火建築物は5年間)にわたって減額する制度です。

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