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アパート経営に役立つ裁判所の上手な利用法

Ⅰ裁判所の調停制度Ⅱ簡易裁判所の少額訴訟制度Ⅲ簡易裁判所の督促手続き
Ⅳ正式裁判Ⅴ弁護士会の調停制度Ⅵ強制執行手続き

アパート経営を続けていると、様々な法律問題に直面する場合があります。そもそもアパート経営は、入居者との賃貸借契約によりスタートするわけですが、その賃貸借経営そのものが法律に基づくものです。その後の賃料支払いから、契約解除、退去まで、考えてみればアパート経営のすべてのプロセスが法律抜きには語れません。アパートは、法律に従って経営をしなければならないのは当然のことです。   通常、法律のことを意識せずに済むのは、たまたまトラブルが起こらなかったからに過ぎません。不動産業者に管理等を代行してもらっているケースでは、その業者が法律問題への対処を肩代わりしてくれているために、家主さんが法律や法的知識を意識しないで済んでいる、というのが現実でしょう。 そこで今回は、アパート経営では、どんな場合にどんな「裁判制度」等を利用できるのかを、改めておさらいしてみましょう。裁判制度の利用法や法律の知識を身につけておけば、家主さんのアパート経営の強力な武器になるに違いありません。

Ⅰ 裁判所の調停制度

この制度は、法律上の全ての問題を扱うことができます。アパート経営上、賃貸人との紛争は全て、この制度で法律的に話し合いをすることが可能です。そのため、紛争が生じ、自分たちだけでは解決がつかない場合は、第三者が入った話し合いの場である調停を利用する方法があることを知っておくべきでしょう。  この調停をしてくれる裁判所は、原則としてアパートのある場所を管轄している簡易裁判所です。 その調停申立ては、弁護士のように法律の要件を漏らさず書いていなくても、どんな賃貸借契約で、どんな紛争が起こっているのかを、普通の言葉で書けば、調停申し立てができます。  調停の長所は、①必ずしも法律的な知識がなくても、法的な知識のある調停委員が間に入ってくれるため、弁護士を頼まなくても調停できる可能性があり、その分費用がかからならなくて済む点、②あくまで話し合いなので、両者の意見、事情を考慮した解決が可能な点、等が考えられます。  また、法律上、必ず調停をしなければならないものとして、賃料の増額又は減額請求があります。この請求が、当事者間でまとまらないときは、裁判ではなく、初めに調停を起こさなければなりません。その調停でまとまらない場合に、 正式な裁判ができることになっています。この調停では、賃貸額についての双方の意見とは関係なく、調停委員会が決めた賃料額で調停を成立させることもできます。

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Ⅱ 簡易裁判所の小額訴訟制度

金額の請求が、30万円以下である場合は、滞納賃料、滞納更新料請求、立ち退き後の請算金請求、備え付け施設を壊したことによる損害賠償等、どんな請求でも、「小額訴訟」を利用することができます。小額訴訟は、原則一日の裁判で判決が出ます。裁判所は、一日の内2~3時間で判決を出してくれますので、便利な制度です。  少ない金額だからといって、泣き寝入りをしなくても良いように作られた制度であり、弁護士に依頼しなくても可能な、安上がりな制度として、お勧めできます。

Ⅲ 簡易裁判所の督促手続

金額に関係なく請求権がある場合に、簡易裁判所に申立てさえすれば(とりあえず、その請求が認められるかどうかを別にして)、裁判所から相手方に対して支払督促を出してもらえる制度です。相手方が、このような裁判所からの請求で支払う可能性があるのは、裁判が予定されているからです。 つまり、この制度は、「支払督促状」を受け取った相手から、そのような請求権はないとか、金額が違うなどの意見があれば、異議を出すことができ、異議が出れば、裁判をしなければならないことになります。 ただ、そのような意義がない場合は、支払督促状が送られていることを理由に、強制執行もできることになっていますので、争いのない請求権であるにもかかわらず、支払のない場合には、有効な裁判制度の利用といえます。

Ⅳ 正式裁判

金額に関係なく請求権がある場合に、簡易裁判所に申立てさえすれば(とりあえず、その請求が認められるかどうかを別にして)、裁判所から相手方に対して支払督促を出してもらえる制度です。相手方が、この以上の裁判制度は、弁護士に依頼しなくても手続きが採りやすい裁判制度ですが、そのような裁判手続きでは解決できない場合には、正式裁判を起こさざるを得ません。 この正式裁判は、請求額が90万円までの裁判は、簡易裁判所、それ以上のものは地方裁判所で裁判することが原則です。この手続きは、基本的には、弁護士を依頼しないと難しい点が多々ありますので、このようになっているという説明で十分でしょう。

Ⅴ 弁護士会の調停制度

現在は、裁判所にある調停制度と同様な制度が、弁護士会にもあります。裁判制度ではありませんが、弁護士会の制度は、必ず弁護士が委員となっており、法律的な問題点、事案解決に妥当な話し合いを、よく聞き、相談にのってくれるという点に特色があり、最近この弁護士会の調停制度で解決をする事例も増えてきているようです。法律的な問題であるかどうかも分からないような事案については、弁護士会の調停制度の解決能力が高く、申立てをする際には、考慮に入れて良い制度だと思います。

Ⅵ 強制執行手続

金額に関係なく請求権がある場合に、簡易裁判所に申立てさえすれば(とりあえず、その請求が認められるかどうかを別にして)、裁判所から相手方に対して支払督促を出してもらえる制度です。相手方が、この判決が出ても支払いがない場合は、「強制執行」をせざるを得ません。強制執行をするためには、新たに強制執行の申立てをしなければなりません。 それを申立てる裁判所は、原則として地方裁判所です。不動産であれば、その不動産のある住所を管轄する裁判所、船の場合、銀行預金等の債権の場合、動産の場合など、何を差し押さえるかによって、担当する裁判所が決められています。 アパートの場合は、その部屋にあるものを差し押さえるとか、賃貸人の勤務先とかの保証人の勤務先などが分かっているのが普通ですから、給与の差し押さえなどが一般的です。

【文:鴛海量良氏/公認会計士・税理士】

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