アパート経営トラブル対処法
|Ⅰ契約書等の充実|Ⅱトラブルの実態の把握|Ⅲ法的手段の活用|
アパート経営におけるトラブルには、どんなものが考えられるでしょうか。
家賃不払い、騒音、他の入居者との争い、ゴミ捨てその他の利用に関するルール違反等、挙げたらきりがありません。
このようなトラブルに直接対応することを嫌い、アパートの管理を不動産会社などに任せている家主さんも多いことと思います。
しかし、こうしたトラブルにいかに対処し、解決していくかが、ご自分のアパート価値を高め、より優良な入居者の確保・定着につながるものということを、忘れないでください。
そこで今回は、アパート経営のトラブルに、どのように対処していけばいいかについてお話ししましょう。
Ⅰ 契約書等の充実
トラブルに対処するに際し、まず、家主さんの足がかりとなるのは「契約書」や「利用規約」、あるいは「管理規約」です。
それらのものには、入居者として守るべき内容を、明確に定め、また、違反したときの責任の取り方についても明記しておく必要があります。このため、この契約書等の内容をいかに充実させるかが、トラブル対処法の第一歩となります。
ところが、契約書などは市販のものや不動産会社ものなどを、そのまま使用されている家主さんもおられます。
市販の書類は買ってくるだけですぐに使用できるうえ、ひととおりのことは書かれています。このようなため一見便利なように見られますが、実は大きな問題があるのです。
というのも、市販の契約書は、どのような賃貸借契約書にでも使えるように、一般的なことしか定めておらず、個別のケースによっては異なる部分が全く無視されています。

例えば、貸室が一戸立て、あるいはマンションの一室の場合と、いわゆるアパートの形式による場合を考えてみても、契約書に定めるべき事項や利用方法等の規則の中身が異なってくることはおわかりいただけると思います。
このため、このような契約書等の書類は、大家さんが、それぞれの賃貸物件の状況等にあわせて、いわばオーダーメイドで作成しておくべきものです。
Ⅱ トラブルの実態の把握
どのようなトラブルでも共通して言えることは、まず、そのトラブルの状況と原因を正確に把握することが必要です。
例えば、「隣の入居者がうるさい」という苦情が別の入居者からあったとします。この苦情を聞いて、すぐに隣の入居者に「静かにするように」注意をする大家さんはおられないと思います。
まず、どのような騒音か(人の声、足音などか、ステレオあるいは機械などか)、どのような時間帯や場合にあるのか、断続的か継続的か等々、トラブルの状況とその原因をよく調査することになります。原因については、ときには、一つだけではなく、たとえば入居者自身の問題だけでなく、建物の構造上や管理といったことなどが、複合することもあるでしょう。
さらには、その状況をテープレコーダーなどで記録したり、苦情をいってきた入居者に録音してもらうなどして、後で、トラブルそのものが実際にあったのか、あったとしてもどのようなものか解らないといったことのないように、いわば証拠を残す必要もあります。
トラブルの内容によっては、写真撮影や計測などが必要なこともあるでしょうし、直接の当事者でない入居者の立ち会いなど証人を確保する、といったことも必要になるかもしれません。
Ⅲ 法的手段の活用
法的手段というと「訴訟」を連想し、費用や時間のかかる大げさなものと考えがちですが、例えば、30万円以下のお金の請求については、簡易裁判所での小額訴訟手続を利用すれば、法律専門家でなくとも簡単に、しかも原則として1回で解決することができる場合があります。
また、調停手続を利用すれば、裁判所が選んだ調停委員が双方の言い分を聞いた上、納得のいく解決を図ってくれることも十分考えられます。
このような身近にある簡易な法的手続を、積極的に活用していくことも、大家さんにとっては大切です。
【文:鴛海量良氏/公認会計士・税理士】





